MATERIAL
マテリアルの使い方や装飾によって、建物の印象は左右されます。
THE邸宅が目指すのは、統一された美しさ。
建築が先にあり、そこにマテリアルや装飾を当てはめるのではなく、
完成後の姿にふさわしいものを早い段階から選んでいます。
国境を問わず、新旧を問わず、広い視野を持った選択肢。
内にも外にも一貫性のある姿が立ち上がります。
Ohyaishi大谷石
栃木県の大谷地区から産出される緑色擬灰岩で、古くは6?7世紀頃から使われてきました。近代、そのポテンシャルに目を付けたのは建築家のフランク・ロイド・ライト。大正時代、国際的な社交場として設計された帝国ホテルの装飾として、ホテルの内外に大谷石を用いました。あたたかみのあるテクスチャーと、経年変化がもたらすヴィンテージ感は、現代の邸宅にも馴染みます。
Ironアイアン
階段の手すりや庭の門扉など、アイアンの質感がアクセントになるシーンがあります。リビングに配置した階段は、美しい意匠と笠木の組み合わせによって、格調を感じさせながら軽やかさが生まれました。細部を見れば、溶接を見せない丁寧な仕事がわかります。信頼のおける職人が、私たちの思いを形にしています。
Light照明
照明は室内の印象に大きく関わります。例えば、吹き抜けの広いリビングには、その空間にふさわしいシンボリックな照明が必要です。アメリカのフランク・ロイド・ライト財団に特注するペンダントライトを用いることは、私たちの選択肢のひとつです。リサイクルの吹きガラスを用いるBOCCI、緻密に作りあげられたBaker、村野藤吾の和風照明など、空間にあわせて選んでいきます。
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Kanuma Kumiko鹿沼組子
釘を使わずに、木片を組み合わせて複雑な模様のフレームをつくる組子細工。元来は障子や欄間などに使用されていましたが、幾何学模様の美しさは洋間にもふさわしく、ちょうどよいアクセントになります。わたしたちが用いるのは、江戸時代より名を馳せる「鹿沼組子」です。圧倒的な技術力を背景に、現代のデザイン性を取り入れた作品も生み出しています。
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Karasuyama Washi烏山和紙
繊維の長い和紙は、薄くても丈夫で長持ちすることが特長です。調湿効果を持つことから、建材としても優れています。中でも、奈良時代に起源を持つ烏山和紙は別格。皇室の歌会に使用されていた歴史があり、上質さとあたたかみを兼ね備える風合いがあります。
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Urushi漆
古来より日本で使われてきた漆。一般的には漆器がなじみ深いですが、日光東照宮をはじめとする歴史のある建造物では木材の仕上げに漆が使われています。漆の素晴らしさは、耐久性が増すことと時間の流れによって深まる風合いです。年月を経て、なお美しい漆。非常に優れた建築素材です。
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Mashikoyaki益子焼
益子焼は江戸時代の後期に始まった焼きものです。気泡を多く含む陶土から生み出される器は、厚手で素朴な味わい。人間国宝の陶芸家・濱田庄司が民芸運動の中でその魅力を再発見し、現在では芸術性が国境を越えて評価されています。和食は当然、洋食を盛っても映える懐の深い器です。
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Hanchiku版築
異なった表情を持つ土を何層も積み重ねることで、あたたかみと重厚感を併せ持つ壁面を生み出します。時間と手間がかかることから、従来は格式のある旅館などだけで施工されていた伝統的な工法です。家の雰囲気に合わせて土の組み合わせを調整して、小面積であっても印象に残る壁をつくります。